平成22年度春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問19
【問題19】
暗号方式に関する説明のうち,適切なものはどれか。
共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をする場合,通信相手が多くなるに従って,鍵管理の手間が増える。
共通鍵暗号方式では,送信側と受信側で異なった鍵を用いるので,鍵の機密性が高い。
公開鍵暗号方式で通信文を暗号化して内容を秘密にした通信をするときには,復号鍵を公開することによって,鍵管理の手間を減らす。
公開鍵暗号方式では,署名に用いる鍵を公開しても構わない。
【解説】
暗号方式には主に共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式があります。それぞれの特徴に基づいて選択肢を評価します。
- ア: 共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をする場合,通信相手が多くなるに従って,鍵管理の手間が増える。
正しい。共通鍵暗号方式では、通信する相手ごとに異なる鍵を安全に共有する必要があります。通信相手が増えると、それに応じて鍵管理の手間も増加します。
- イ: 共通鍵暗号方式では,送信側と受信側で異なった鍵を用いるので,鍵の機密性が高い。
誤り。共通鍵暗号方式では送信側と受信側が同じ鍵を共有する必要があります。この鍵が漏洩すると通信内容が解読されるため、鍵の機密性を保つことが課題です。
- ウ: 公開鍵暗号方式で通信文を暗号化して内容を秘密にした通信をするときには,復号鍵を公開することによって,鍵管理の手間を減らす。
誤り。公開鍵暗号方式では、暗号化に使用する公開鍵を公開し、復号鍵は秘密にしておく必要があります。復号鍵を公開すると内容が解読されるため、この記述は誤っています。
- エ: 公開鍵暗号方式では,署名に用いる鍵を公開しても構わない。
誤り。署名に用いる鍵は秘密鍵であり、公開してしまうと署名の正当性が保証されなくなります。
【答え】
ア: 共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をする場合,通信相手が多くなるに従って,鍵管理の手間が増える。
出典:平成22年度 春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問19