平成23年度春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問4
【問題4】
多重にハードウェア割込みが発生する組込みシステムにおけるISR(Interrupt Service Routine)の処理の説明のうち,適切なものはどれか。
ISR処理時間が長い順に高い割込み優先度を与えると,システム全体のリアルタイム応答性が向上する。
ISR処理中に,ほかの割込み要求を抑止する場合は,セマフォを用いる。
最大割込み処理時間は,すべてのISR処理時間の合計であり,最も優先度の高い割込みが発生してから,そのISR処理の完了までの時間に相当する。
低い優先度の割込みによるISR処理中に割込み禁止を行うと,その間に発生した高い優先度の割込みに対するISR応答時間は長くなる。
【解説】
ア: ISR処理時間が長い順に高い割込み優先度を与えると,システム全体のリアルタイム応答性が向上する。
誤り。リアルタイム応答性を向上させるためには、処理時間が短いタスクに高い優先度を与えるべきです。長い処理時間のISRに高い優先度を与えると、応答性が悪化する可能性があります。
イ: ISR処理中に,ほかの割込み要求を抑止する場合は,セマフォを用いる。
誤り。ISR内での割込み要求の抑止にはセマフォではなく、割込みマスクや割込み禁止機能が用いられます。
ウ: 最大割込み処理時間は,すべてのISR処理時間の合計であり,最も優先度の高い割込みが発生してから,そのISR処理の完了までの時間に相当する。
誤り。最大割込み処理時間は、個々のISRの処理時間の合計ではなく、優先度と割込み処理順序によって異なります。
エ: 低い優先度の割込みによるISR処理中に割込み禁止を行うと,その間に発生した高い優先度の割込みに対するISR応答時間は長くなる。
正しい。低い優先度のISR処理中に割込みを禁止すると、高優先度の割込みが発生しても応答が遅れ、リアルタイム性に悪影響を与えます。
【答え】
エ: 低い優先度の割込みによるISR処理中に割込み禁止を行うと,その間に発生した高い優先度の割込みに対するISR応答時間は長くなる。
出典:平成23年度 春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問4