平成22年度春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問20
【問題20】
論理データモデル作成におけるトップダウンアプローチ,ボトムアップアプローチに関する記述として,適切なものはどれか。
トップダウンアプローチでは,新規システムの利用者要求だけに基づいて論理データモデルを作成するので,現状業務の分析は行えない。
トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,最終的な論理データモデルは正規化され,かつ,業務上の属性は全て備えていなければならない。
トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,利用者が使用する現状の画面や帳票を素材として分析を行うのは同じである。
ボトムアップアプローチは現状業務の分析に用いるものであり,新規システムの設計ではトップダウンアプローチを使用する。
【解説】
論理データモデルの作成には、「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」の2つの方法があります。それぞれの特徴を基に選択肢を評価します。
- トップダウンアプローチ:
– システム全体の構造や要件を大まかに設計した後、詳細部分を具体化していく方法です。
– 主に新規システムの設計や大規模なシステムの構築時に適用されます。
- ボトムアップアプローチ:
– 現状業務の詳細(帳票や画面など)を分析し、それを基に全体の構造を構築していく方法です。
– 主に現行業務の分析や改善が必要な場合に用いられます。
各選択肢の解説
- ア: トップダウンアプローチでは,新規システムの利用者要求だけに基づいて論理データモデルを作成するので,現状業務の分析は行えない。
誤り。トップダウンアプローチでも現状業務の分析を行い、新規システムの要求事項を導き出します。
- イ: トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,最終的な論理データモデルは正規化され,かつ,業務上の属性は全て備えていなければならない。
正しい。どちらのアプローチを用いる場合でも、最終的な論理データモデルは正規化を行い、必要な業務上の属性を網羅する必要があります。
- ウ: トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,利用者が使用する現状の画面や帳票を素材として分析を行うのは同じである。
誤り。トップダウンアプローチは業務全体の要件から出発し、ボトムアップアプローチは現状の画面や帳票などの具体的なデータを基に分析を行います。
- エ: ボトムアップアプローチは現状業務の分析に用いるものであり,新規システムの設計ではトップダウンアプローチを使用する。
誤り。ボトムアップアプローチも新規システム設計に役立てることができます。一方、トップダウンアプローチと組み合わせて用いる場合もあります。
【答え】
イ: トップダウンアプローチでもボトムアップアプローチでも,最終的な論理データモデルは正規化され,かつ,業務上の属性は全て備えていなければならない。
出典:平成22年度 春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問20